赤い月 肆

「っっ痛って…」


「イイ気付けになったろ。
目ぇ覚めたか?」


涙目で頭を抱える景時を見て、薫はニヤリと笑った。


「病んでる場合じゃねーゾ。

イイコト教えてやろーか。」


「イイコト?」


片手で頭を撫でながら、景時が首を傾げる。

不思議そうなその顔を見て、薫は笑みを深くした。


「うさぎサマは、愛した男の昔の女も、男を愛するのと同じように愛するらしーゾ?」


「…
へー…」


スゲぇな、ソレ。

俺なんか、全力で妬いちゃうケド。

うさぎの昔の男とか、抹殺したいケド。

君のコトだよ、黒曜くん。

あー…

だから、深雪さんに嫉妬したりしねぇンだ。

だから、あんなにも深雪さんを信じて‥‥‥







ん?

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