赤い月 肆
チェリーなのはわかった
昼休みの屋上でも、少し距離がある。
今までは隙あらば…いや、隙がなくても、うさぎを腕の中に閉じ込めていたのに…
なんか… ムリ。
ギュってできない。
ナニしでかすかわかんねぇ自分が怖い。
このままじゃ、まじでうさぎ欠乏症で死ぬわ、俺。
空はこんなに青いのに。
陽光はこんなに暖かいのに。
死──ぬ──わ──!!
「ねぇ、うさぎちゃん。
今日の放課後、暇?」
「なんか用事あるー?」
祥子と小鞠が、イチゴ牛乳を手にしたうさぎに問いかけているのが聞こえる。
(暇じゃねーよ。
アイツが来ンだよ。)
死体のように薫にもたれかかりながら、景時は心の中で毒づいた。
だがうさぎの返事が気になるので、耳は思いっきりダンボ状態。