赤い月 肆
元気出るかなーと思ったのに。
喜ぶかなーと思ったのに。
病んでる通り越して、壊れやがりマシタYO!
コワいコワい。
目がコワい。
瞳孔開いてンじゃねーかぁぁ?!
「スンマセン。
ほんとスンマセン。
ほんと、ソレしかわかんないっス。」
冷や汗をかきながらスンマセンを連発すると、やっと襟首が解放される。
薫は胸を押さえながら、深呼吸した。
「…薫…は、どー思う…?」
さっきまでとは別人のような景時の掠れた声に、薫が顔を上げる。
「俺ですら自信なくしそーなのに、うさぎがあんなに深雪さんを信じるのは…
俺が好きだった人だから?
うさぎは…
俺のコト…」
低い囁き。
期待と不安と自信と萎縮と歓喜と悲哀と…
色んなモノが織り交ざった、切ない表情。
色気すら漂う、恋に焦がれる男の‥‥‥