赤い月 肆
「俺が知るかよ。」
薫は視線を逸らしながら、頬を掻いた。
「俺が知ってンのはソレと、裏切ったら去勢の刑が待ってるってコトだけ。
本人に聞けよ。」
「…」
「ちゃんと、今みたいな顔して聞けよ?」
「…俺、どんな顔してンの?」
「超キモい顔。」
ヒドい薫ちゃん、なんて景時が泣き真似を始めるが、薫は無視して空を仰いだ。
もうイイだろ。
もうイイ加減くっついちまえ。
本人相手に不確かなコトは言えないが、イケんだろ、コレ。
以前、うさぎが薫に見せた顔。
今、景時が薫に見せた顔。
お互いに見せ合っちまえば、確実にイケんだろ。
そうなったら俺も…
俺も…
嬉しいよ。
心から。