赤い月 肆
(コワっ?!)
うさぎには聞こえないように黒曜が呟いた一言に、景時は目を剥いた。
「うさちゃんは、そんなコト許しマセン!」
「バっカ。
こっそり殺るンだろーが。
紅玉が危ない目に遭うよか、マシじゃねーか。」
黒曜の冷たい眼差しは、明らかに景時を非難している。
でもでも深雪さんは…
あー… うー…
ハイ、俺が悪いデス。
狙われたのがうさぎじゃないって断言できないのは、俺がイイ加減なコトをしてきたからで…
「そーだ、おまえが悪い。
反省しろ。
そして紅玉を返せ。」
読心術を使ってまで、傷を抉らないで…
腕を組んで顎を反らす黒曜を、景時は情けない顔でチラリと見た。
「景時の『もとかの』は、関係ない。」