赤い月 肆

『俺を愛しているンだろ?』

は?
ダレ?コレ。

キャラじゃねーだろ。

『俺は君が好きなンだケド、君のキモチは俺と同じ?』

あ…

コレ、良くナイ?

いくらうさぎが鈍くても、俺の『好き』がどーゆー『好き』かは、わかってンだろ。

コレだ!
コレしかない!

コレ…


「なんだ?」


無惨に破られた茶封筒の中から現れたのは…

手鏡?

周囲と柄はくすんだ金色で、乙女チックなレリーフが施されている。

今景時が見ている背の部分の中央には、花が描かれた陶磁がついていて…


(コレ、確かドコかで…)


って、ドコで?

こんなお姫様風なの、ウチにゃねーよ?

じゃ、ドコかの店で?

いやいや、アンティークショップなんて行かねぇし。


(アンティーク…
深雪さん…)


そうだ、彼女の部屋で見た。

俺が落っことしそうになって、叱られたンだ。

なんで彼女の鏡がココに?

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