赤い月 肆

「景時くんが同棲してるっぽいコト言ってたから、悩んだンだケド…
あのコ、なかなか死んでくれないし。
賭けに出たの。」


「…」


「私の勝ちよ。
これで景時くんは私のモノ。
そうでショ?」


なんでオニなんか使えンの?
なんで呪なんか使えンの?

疑問を全部ブっ飛ばして、いきなり結論に辿り着く。

景時は握った拳を震わせて、光の失せた瞳で深雪を睨みつけた。


「なんで… なんでうさぎを…」


「アナタが欲しかったから。」


軽く肩を竦めながら、深雪が平然と言い放つ。


「景時くんを渡したくなかったの。
景時くんに傍にいて欲しかったの。
私、寂しがりやだから。
ね? 一緒にいてくれるよね?」


(そんな理由で…)


微笑みを浮かべて誘うように手を差し伸べた深雪から、景時は俯いて視線を逸らした。

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