赤い月 肆
そのような事はさせぬ

とんでもないコトが起こった。

何も出来ずに茫然と景時を見送った後、正気を取り戻した薫はすぐに景時の部屋に入った。

なにがなんだか、サッパリわからない。

だが、とんでもないコトが起こったに違いない。

おそらくは、うさぎの身に。

だって、あの景時の目…

薫は身震いした。


「うさぎサマ?」


静まり返ったリビングに、目当ての人はいない。

あったのは、脱ぎ捨てられた彼女ご愛用のYシャツだけ。


(ドコ行った?)


嫌な予感がする。

てか、嫌な予感しかしない。

薫は無遠慮に寝室の扉を開け放った。

< 204 / 265 >

この作品をシェア

pagetop