赤い月 肆
そのような事はさせぬ
とんでもないコトが起こった。
何も出来ずに茫然と景時を見送った後、正気を取り戻した薫はすぐに景時の部屋に入った。
なにがなんだか、サッパリわからない。
だが、とんでもないコトが起こったに違いない。
おそらくは、うさぎの身に。
だって、あの景時の目…
薫は身震いした。
「うさぎサマ?」
静まり返ったリビングに、目当ての人はいない。
あったのは、脱ぎ捨てられた彼女ご愛用のYシャツだけ。
(ドコ行った?)
嫌な予感がする。
てか、嫌な予感しかしない。
薫は無遠慮に寝室の扉を開け放った。