赤い月 肆

作戦は順調にすすんだ。

少女は美しく成長し、それにつれて心は壊れていった。

女になった彼女は、愛した男が次々死んでいくことに恐怖を抱くようになった。

そして男を愛さなくなった。

でも、焦ることはない。

人の心は弱いもの。

必ずまた愛を欲するだろう。

抑えていた感情を爆発させるように、男を強く愛するだろう。

その時こそ私の願いが叶う時…

そして時は来た。

女は男を愛した。

まずは小さな幸せを与えなくちゃ。

男の彼女を殺し、女を恋の勝者にしなくちゃ…

だがそれは、うまくいかなかった。
機会があまりに少なかった。

意を決した私は、強行手段に打って出た。

女を操り、男の学校に身を潜ませてチャンスを窺い、男の彼女を体育館に閉じ込めて、小さな窓から私が飲み込んだオニを全部放つ。

そこまでしたのに、なぜか男の彼女は死ななかった。

逆にオニが全滅した。

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