赤い月 肆

飛弾を使おう。

威力は半減するが、身を守りながらでも撃てるし、手数勝負にはもってこい。

バジュラをウォールミラーに向け、景時が口を開く。


「飛だ」


「ああっっ!」


短い悲鳴に驚いた景時が振り返ると、床に倒れたまま両腕で顔を覆った深雪が、破片の攻撃を受けていた。

裂かれた衣服に、血が滲んでいる。


「深雪さん!!」


「アハハハハ!!」


深雪に駆け寄る景時の背中に突き刺さる嘲笑。


「アンタ、なんかしようとしてたでショ!
やってみなさいよ!
その女を見捨てることが出来るならね!!」


「オメェ、性格悪すぎだろ?!」


深雪を抱き起こして防御しながら、景時が鏡に叫ぶ。


「なんとでも言えばぁ?
あらら?
女ばっか庇っちゃって、自分がガラ空きよぉ?」


性格極悪な言葉と共に、景時の躰を破片が切り裂く。

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