赤い月 肆

デカい鏡を持って、バイクには乗れない。

てか、一秒でも早く帰りたいからジャマ。

でも…


(置いて帰っちゃ、マズいっショ…)


景時はウォールミラーの処置に困っていた。

あんなに性悪弾丸トークをしていた鏡は、沈黙を保っている。

おそらく浄化できたのだろう。

だが自己修復機能付きなのだから、油断はできない。

慈龍寺に持ち帰り、封印するか、完全に破壊しなければ。

ジジィに連絡して、車で引き取りに来てもらうか。

てか…
怒ってンだろなー、ジジィ。

撒いちゃったし。
部屋に携帯放置して来ちゃったから、連絡も取れないし。

帰ったら、写経地獄カモ…


(ジジィが来るまでに復活されちゃうと厄介だから、床に伏せとこ。)


いくらなんでも、鏡が自力で立ち上がったりはしないだろう。

手も足もナイし。

俺、ナイスアイデーア☆

深雪を扉の前に待たせて、鏡に近づく。

壁から外そうと持ち上げた時、鏡の中の自分と目が合った。

あ‥‥‥ら?

なんか歪んで‥‥‥

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