赤い月 肆

景時が、こんな状態のうさぎを誰かに預けていくなんて、おかしいと思っていた。

術者が深雪だと勘違いしていたとしても。

景時のあの昏い瞳と、うさぎの『生涯、己を責めるだろう』という言葉の理由は…


「たぶん…
うさぎサマは景時を庇って…」


薫は床に視線を落としたまま、苦く呟いた。

それを聞いた白蛇の眉尻が、呆れたように下がる。


「はぁ?
…まぁ、このコらしいケド…
ほな、その景時はこのコ放ったらかしてドコおんの?」


「…
盛大に勘違いして、うさぎサマの呪を解こうと、術者を殺しに行きマシタ。」


「はぁぁぁぁぁ?!
アホちゃうぅぅぅ?!」


白蛇の眉は、今度は逆に吊り上がる。

自分が怒られているような気になって、薫は思わず首を竦めた。

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