赤い月 肆
さっき秋時から、『撒かれた』との短いメールを受信した。
まだ見失った場所付近を捜索しているようだが、もう景時を捕まえることはできないだろう。
オニ狩りとしてもそうだが、状況に応じた判断力、行動力、そして機転…あらゆる面で、彼は慈龍寺で最も優秀なのだから。
だが…
(優秀… でもねぇか。
メンタル弱いし。)
うさぎが絡むと、景時はいとも簡単に正常な判断力を手離す。
挙げ句、暴走する。
今回だってトチ狂って走り出す前に、ちゃんとうさぎの話を聞いていれば…
「なんか…
ゴメンナサイ。」
薫は景時に代わって、白蛇に頭を下げた。
「や、エエケド… そのコ…」
白蛇は、首から上を蛇に飲まれているうさぎをチラリと見た。
色気満載の顔が、少し曇っている。
「ナニ?」
「…
なんもない。
あ、治ったで。」