赤い月 肆
あからさまに話を逸らされた。
だが、薫は深くツっこむことはできなかった。
腕をヒト型に戻した白蛇が、まだ眠り続けるうさぎを抱え上げ、ペイっと境内に放り出したのだ。
宙を舞ったうさぎの身体は、土の上でワンバウンドしてコロリと転がる。
「アンタ、ナニしてくれてンだぁぁぁ??!!」
薫は本堂に響き渡るほどの声を上げた。
投げたよ、この人。
さっきまで死にそーだったヤツ、投げちゃったよ?
ナニ考えてンだ?
あり得ーん!!
薫はうさぎを拾いに行こうと、慌てて立ち上がった。
だが、白蛇に強い力で手首を掴まれる。
「あかーん。
アンタ、感染してるやろ。
せっかく治してんから、もう触らんといてくれる?」
「あ…
いやいや、でもアレはあんまりだろ。
布団かナニカ、持ってくっから…」
「過保護か。」
白蛇がフンっと息を吐き、バカにしたように顎を反らす。
「姫は鬼やで?
土の上のほうが」