赤い月 肆

ド─────ン!!
ズザザザァァァ!!


(地震?!)


凄まじい地響きがして境内を振り返ると、もうもうと砂埃が立ちこめている。

ついでに鬼気も立ちこめていて…


「あーあ、来よったで。
過保護一号。」


目を瞬かせる薫の隣で、白蛇が首を振りながら溜め息を吐いた。


「白─────!!
紅玉をこんな場所に寝かせておくとは、貴様、死にたいようだなぁぁぁぁぁ??!!」


過保護一号…黒曜がうさぎを抱き上げて、砂埃の中から姿を現した。

ちょくちょく会ってはいたが、鬼としての黒曜は初めて見る。

うさぎと同じ、長い銀髪。

うさぎと同じ、柔らかい曲線を描く二本の角。

うさぎとは違う、黒曜石のような瞳。

精悍な美貌と大人カジュアルなファッションはいつも通りだが、放出する鬼気はまさに鬼神。

重い、重い。

窒息するー
圧死するー


「せやから…
そのコは土に触れてるほうが、早よ精吸って、早よ回復するやん。
久々やのに、随分ご挨拶やな。
そのコ治したん、ウチやで?」

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