赤い月 肆

「深雪(ミユキ)さん…」


景時がポツリと呟いた。


「生きてたのぉ?
最近全然連絡とれないから、心配してたの。
カノジョでも出来たぁ?」


ヒールを鳴らして走り寄ってきたオネーサマが、嬉しそうに景時の腕に絡みつく。

オネーサマを避けてうさぎたちに近づいた薫は、少し渋い顔をしていた。


「…誰?」


「元カノ。」


低く短く尋ねる大吾に、薫も短い答えを返した。


「ぅわぁお。
元カレ、元カノ、出揃ったぁぁぁ?!」


祥子が面白そうに目をギラギラさせているのは、気のせいだろうか。


「『もとかの』?」


うさぎが隣に立つ小鞠に問う。


「えっと…
高杉くんの、前の恋人?」


小鞠はどこか言いにくそうだったのに、その言葉を聞いたうさぎの顔は輝いた。

< 26 / 265 >

この作品をシェア

pagetop