赤い月 肆
「深雪(ミユキ)さん…」
景時がポツリと呟いた。
「生きてたのぉ?
最近全然連絡とれないから、心配してたの。
カノジョでも出来たぁ?」
ヒールを鳴らして走り寄ってきたオネーサマが、嬉しそうに景時の腕に絡みつく。
オネーサマを避けてうさぎたちに近づいた薫は、少し渋い顔をしていた。
「…誰?」
「元カノ。」
低く短く尋ねる大吾に、薫も短い答えを返した。
「ぅわぁお。
元カレ、元カノ、出揃ったぁぁぁ?!」
祥子が面白そうに目をギラギラさせているのは、気のせいだろうか。
「『もとかの』?」
うさぎが隣に立つ小鞠に問う。
「えっと…
高杉くんの、前の恋人?」
小鞠はどこか言いにくそうだったのに、その言葉を聞いたうさぎの顔は輝いた。