赤い月 肆
祈る
きっと生きている。
きっと無事でいる。
人は神には敵わない。
付喪神は倒せない。
だが景時は、そう簡単に諦めるような男ではない。
足掻きながら、もがきながら、それでも光明を見出だそうとするだろう。
だから、きっと生きている。
きっと無事でいる。
うさぎは心の中で呪文のように繰り返す。
でも一向に不安は去っていかない。
生きている。
信じている。
だけど…
百年を経た器物は自我を持ち、神と成る。
それが付喪神。
付喪神となってからまだ日が浅ければ、能力自体は妖魅とさほど変わらない。
有り体に言って、それほど脅威を感じる相手ではないのだが…