赤い月 肆
鬼の恋愛観
初めてのカラオケボックス。
うさぎは珍しそうに狭い室内を見回し、手当たり次第に色んなボタンを押そうとする。
「ダメ、ダメ。
やめて、うさぎサマ。」
「むぅ。」
薫に手を捕まれたうさぎは、不服そうにしながらも促されるまま席に着いた。
薫はその正面のソファーに腰を下ろし、軽く彼女を睨む。
「…良かったのか?
景時置いてきて。」
「うむ。
…
実はな、薫。」
うさぎが少し身を乗り出した。
大吾と祥子と小鞠はドリンクバーで飲み物を調達している。
つまり、美しい顔を寄せてくるうさぎと、薄暗く狭い部屋で二人キリ…
(ナニ言い出す気?
てか、ナニ? この空気。)
薫はなんとなく居心地が悪くなり、少し視線を逸らした。