赤い月 肆

うさぎは薫の戸惑いには気づかず、内緒話をするように声を落として言った。


「最近、景時の様子がおかしいのじゃ。」


「‥‥‥‥‥
あー… うん…」


知ってるわ───!!
みんな知ってるわ───!!


「妾には言えぬ事で悩んでおるようでな。
と言うか…

妾と…
鬼と共に在る事が、景時に悪しき影響を与えておるのやも知れぬ。」


いやいや。
悪しき影響を与えてンのはオメェじゃなくて、あのカッケー鬼だよ。

てか、どーゆーコト?


「景時となんかあったンか?」


「…
此処だけの話にしてくれ。
景時にも…
かなり気にしておるようじゃから…
その…
妾を喰らおうとしたのじゃ。」


「‥‥‥ハイ?」


喰らう?
あのバカ、襲いかかったの?


「‥‥首に…噛みつかれた。」

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