赤い月 肆
やっぱりうさぎの隣を歩けない景時の傍に、大吾、祥子、小鞠が寄ってきた。
随分日が長くなったとはいえ、空はもう暗く、街は色とりどりの明かりを灯している。
「高杉ィ、元カレや元カノなんて、姐御にとってはただの人の歴史なンだよ。
姐御の愛は、深くて大きいンだよ。」
「その上、猟奇的なンだよ。」
「ハイ?」
愛が深くてデカくて猟奇的?
祥子は感じ入ったように何度も大きく頷いているが、大吾は少し青ざめて微妙に内股になっている。
(うさちゃん…
俺が目を離してる隙に、とんでもないコト言った?)
景時は、前を歩くうさぎの背中を見た。
隣にいる薫がデカすぎるからだろうか、やけに小さく遠く見える。