赤い月 肆
景時だけならまだしも、彼女までこんな…
なんか、いたたまれない。
なんか、カワイソー。
てか、その顔やめて。
「あー…
その前に俺が話してみるわ。
うさぎサマ、昨日アイツと約束してたろ?
行って来いよ。」
「だが…」
「大丈夫だから。
ほら、お迎え来てンぞ?」
薫が親指で窓の外を指した。
校門の前には、目立つハマーが横付けされている。
「…」
うさぎは厚みのある下唇を軽く噛んで、俯いた。
「ほんと。大丈夫。
な?」
「‥‥‥‥‥本当か?」
(だーかーらー。
やめろ、ンな顔。)
上目遣いで眉をハの字にするうさぎの頭を、苦笑いを浮かべた薫が大きな手で撫でた。
景時が見てたら、殺されそう。
でも、たまんねーよな、こんな顔されちゃ。