赤い月 肆

「任せとけって。」


「…
では、頼むぞ、薫。」


薫に背を向けたうさぎが、教室を出て行く。

それを見送って、深い溜め息を一つ。

薫は机に伏したままの景時に歩み寄った。

あー…
聞こえるね。
言ってるね。
ブルースが取り憑いてるね。


(わかってねーンだろーなー。
うさぎサマにあんな可愛い顔させてンのが、自分だってコト。)


なんとなく腹が立った薫は、とりあえず景時の後頭部を殴っておいた。


「痛って…
あれ? 薫?
授業は?」


赤い頭を押さえながら、景時が振り向く。

どうやら除霊は成功だ。


「とっくに終わったわ。
オメェ…
ナニやってンの?」


「ナニって…
あら? うさぎは?」

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