赤い月 肆
『考えるな、感じろ』
アイツがうさぎに手を差し伸べている。
うさぎがその手を取ろうとしている。
間に合う…
坊っちゃんばりの二階からダイブを披露して追いついた景時が、うさぎの細い腕を掴んだ。
「うさぎ!」
「…景時?」
振り向いたうさぎが、目を見開く。
うさぎから視線を移したあの男も、無表情にこちらを見ている。
あー…
ほんとお似合い。
なんとなく雰囲気も似通ってるし。
本来の姿に戻れば、きっと、もっと、絵になるだろう。
でも、そんなコト関係ねーよ。
知ったこっちゃねーよ。
景時は息を整えて、うさぎの大きな澄んだ瞳を見つめた。
「行くな。」