赤い月 肆
「え…」
「行くなよ。
俺と一緒に」
「来い、紅玉(コウギョク)。」
黒曜が彼女を呼んでいる。
景時に鋭い視線を向けたまま。
うさぎの紅い唇が薄く開く。
さー、ナニが来る?
行く?
行かない?
行くって言うなら、かっ攫って逃げよう。
だって、イヤだもん。
渡したくねーもん。
考えるな、感じろ。
考えるな、感じろ。
考えるな、感じろ。
うさぎが好き‥‥‥
「すまぬ…」
うさぎが揺れる瞳に景時を映したまま、小さく呟いた。