赤い月 肆

「うさちゃん…
好き。
大好き。
俺、うさぎ不足で気が狂いそーだった。」


久しぶりの彼女の香りに酔いしれながら、ついでに桜色の耳朶を甘噛みしてみたり…


「おまえ、イイ度胸してんな。」


ハスキーな低い声に顔を上げると、腕を組んで車にもたれかかった黒曜がこちらを睨みつけていた。


「誰の目の前で、誰に、ナニしてンの?」


「…
鬼神サマの目の前で、俺のうさちゃんに、ハグした挙げ句、耳噛んだ!」


どーだ、コノヤロー、と言わんばかり。

景時はうさぎを抱えたまま、黒曜に言い放った。

茶褐色の瞳と漆黒の瞳がぶつかり、火花を散らして数十秒…

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