赤い月 肆

心配そうに見上げるうさぎの肩に手を置き、ここしばらく影を潜めていた甘く蕩ける笑顔を見せる。

うさぎは目を瞬かせた。


「そなた、治って…」


「うさちゃん、俺ちょっと行ってくるわ。
薫と帰っててくれる?」


「だがやはり、念の為薬師に診て貰わねば…」


医者?

さっきから、うさぎはナニ言ってンの?

病気なんてしてねーし。
うさぎ欠乏症で死にそーだったケド、ソレは医者じゃ治せねーし。

あんなに心配させておきながらナニもわかっていない景時は、ヘラっと笑いながら、もう一度うさぎを抱きしめた。


「だーいじょーぶ!!!
部屋で待ってて?
ね?」

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