赤い月 肆

「…
そなたがそう言うなら。」


少し拗ねたように。
少し不安そうに。
少し頬を膨らませながらも、うさぎは小さく頷いた。

可愛いぃぃぃ!!

なんて可愛いの、俺のうさちゃんは!!!

殺されそうだから、言わないケド。

俺のうさぎだ。

こんな可愛いうさぎも。
困ったうさぎも。
寂しそうなうさぎも。
怒ったうさぎも。
笑ったうさぎも。

全部、俺ンだ。


(だから、まずはコイツと…)


うさぎをそっと横に押し退けて、景時は進み出た。


「乗れ。」


「おじゃましまーす。」


鏑矢が放たれる。

黒いハマーは、今日は景時を乗せて走り去った。

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