玄太、故郷へ帰る
「うはは、変わらないね、ウチは」
ちゃっかりコタツに座って、暖をとっている玄太がそう言って笑うけれど、こんな状況で笑えるのはきっと玄太だけだろう。
「弥生、冷えただろ? 大丈夫か? 入れよ、コタツ。今、温かいお茶がくるからさ」
玄太がそう促すのに、弥生ちゃんは小さく頷きながらコタツに入り込むと、後はじっと黙ってこちらの様子を伺っていた。
そんな彼女と目が合うと、なんだかドキッとしてしまう。
……不思議な子だな。
私の弥生ちゃんの第一印象は、それ。
どこが、と言う訳ではないのだけれど。
服装も比較的普通で派手でもないし、髪の毛も丁寧に束ねられている。
けれども、あどけなく輝く大きな瞳は何だか子供の様で、まるで高校生の様にも見える。
……垢抜けている?
東京の子なのだろうか。
田舎の女の子にはない上品さが漂っていて、何だか近寄りがたい。
「玄太、とにかく、説明して頂戴」
コトン、コトンと、静かに音を立てて、二人の前にお茶を置きながらそう呟く母の声は、案外、淡々としていた。
威圧感がある。
こういう時、母親というものは意外と強いのかもしれない。