玄太、故郷へ帰る
当の本人達は、この状況をきちんと把握しているのだろうか?
ザッザッザッ
ガツッ
ザッザッ……
カツン
ザッザッザッ
父の怒りの雪かきは、全く止む気配はない。
窓の外ではまだ雪がちらついていて、
「な? 弥生。雪、やべえだろ?」
と、玄太がワクワクした様子を見せるのだから、凄い。
あの雪かきの音を、玄太自身はどんな風に聞いているのか。
「ねえ、悪いんだけど、とにかく休ませてよ。二階の僕の部屋、そのままなんだろう? ストーブと、弥生の布団を用意してくれる? なあ、母さん、頼むよ」
母はそう懇願する玄太を一瞥し、わざとらしく、
「フンッ」
と鼻息を立てて二階へと上がって行った。
ダンッダンッダンッダンッ
階段の軋む音には母の怒りが表れ、
ザッザッザッ
ガツッ
ザッザッザッ
相変わらず、外でも怒りが治まる様子はない。
その怒りを、聞いているのかいないのか、お茶を啜る弟とその彼女。
はあ……
私もまた、この前途多難な展開に溜め息が漏れてしまう。
いったいこれから我が家では、どれほどの嵐が起こるのだ?