玄太、故郷へ帰る
「やった! ソーセージもあるじゃん! さっすが、母さん」
そう言って玄太がゴソゴソと取り出したのは、玄太の大好物の魚肉ソーセージ。
全く、母親というのはこんな時でもちゃんとしている。
いつものスーパーで、しっかりと息子の好物を探し当てているのだ。
何年経っていても。
弁当をベッドの上に置き、早速魚肉ソーセージへとかぶり付く玄太。
母譲りの大きな二重瞼を伏せながら、嬉しそうに手元のソーセージを見つめながら頬張る。
この表情ばかりは、本当にみじんも変わらない。
お爺ちゃんになっても変わらないのではないだろうか。
「ところで、どうすんの? あんた、これからさ」
「んは?」
私はできるだけ姉らしい顔付きで弟に向かい合ってみるけれど、当の弟はまるで危機感のない返事だ。
「弥生ちゃんのご両親は? 父さんにはなんて言うのよ。仕事はどうするの? 養っていけんの? てか、今、どこに暮らしてんのよ」
「んむ……ねえひゃん、いっきにひゃべりふぎ」
私の質問攻めに、モグモグと頬を膨らませながら、玄太は眉間に皺を寄せた。