玄太、故郷へ帰る



一気に喋りすぎ?
……わかってるわよ。
わかってる。

気が焦って一気に出ちゃったんだから、しょうがないじゃないの。
こうして私が一方的に相手を責める傾向にあるのは、間違いなく父さん譲りだな。
あんまり認めたくはないけど。

私が露骨にうんざりした顔をすると、玄太はニヤニヤしながら頬張っていたソーセージを飲み込んだ。


「姉ちゃんさ、漫画、ちゃんと描いてんの?」


「……うるさいなあ、今、姉ちゃんの事はいいの。あんたの話でしょう」


「僕? 僕は今、植木職人だから」


「は?」


……植木職人?
はて。
植木職人?


「弥生んち、東京の外れでさ、植木屋やってんの。まあ今はガーデニング? そっちが主流だから、まあ、植木屋ってよりは……」


「待って、待って待って待って」


話が、掴めないんですけど。

私は玄太の言葉を制して、思い切って聞いてみる。


「……詩は?」


「……んむ……」


玄太の気の抜けた返事。

『僕は詩人になる』
そう言って家を出たはずの玄太。

その玄太が……
お腹の大きな彼女を連れて、植木職人になって帰って来た?



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