玄太、故郷へ帰る
いったい……
私が眠っている間に何が起きた?
「弥生さん、お魚は大丈夫かしら?」
「あ、はい。お魚は、だいじょぶです」
二人の間には、まだぎこちないけれど確かな笑顔。
……もうすっかり嫁と姑だ。
「美香恵、さっさと食べちゃって。ほら、弥生さんがもう準備してくれてるから。お父さん達来る前に、早く」
「あ、うん……」
母に急かされて、私は先に一人でコタツに座る。
……自分の事くらい自分でやるのにな。
コタツの上には、私の分の朝食がしっかり揃っている。
この雰囲気が腑に落ちないのは、もしかして私だけ?
私は一人、先に朝食を済ませる。
卵焼きに、アジのひらき、ワカメとネギのお味噌汁。
「弥生さん、コーヒーは駄目よね? ミルク、温めようかしら? 赤ちゃんにもお母さんにも、カルシウムはとっても大事よ」
「そうですね、ありがとうございます」
キッチンで笑い合う二人。
……なんだ。
私だけ除け者みたいだ。
ちょっと、寂しい様な気持ち。
やっぱり嫌だな、弥生ちゃん。
何がとか、どこがとかじゃないんだけれど。