ラッパート!
華村学園吹奏楽部は、完全実力主義の部活だ。
コンクールに出たい人は、学年に関係なくオーディションを受けるのが、この部活の決まりである。
一年生でも上手い人がコンクールのメンバーに入る。
それが華村学園のやり方だ。
”どうせ渡辺はメンバーだぜ。”
”去年のソロコンで二位だったんだろ”
オーディションの日付が決まると、きまって上級生から下級生までが、僕の噂をする。
僕がコンクールにでるのが嫌なら別にそれでもいい。
初めにも言ったとおり、僕はコンクールは戦場と一緒だと思っているし、コンクールだけが音楽じゃない。
オーディションなんてでなければいいのだ。
道ぐらい譲ってあげるよ。
「僕はオーディションは受けないことにするよ。」
僕は、山田君と田中さんに言った。