ラッパート!
「俺は、お前を越えたい。」
初めてだった。
面と向かってそう言われたのは。
「お前は、俺にはない技術も、音も、知識も、落ち着きもある。
俺が持っていないものを全部、持ってるんだよ。」
でも、僕も思ったんだ。
そんなものは――――。
「僕も同じだよ。君は、僕に無いものを持ってるんだ。」
僕は、真剣な瞳で山田君を見た。
「君は、僕にはない明るい音をしてる。
純粋で、素直で、綺麗な音だと思った。
僕にはそれが羨ましくて仕方ない。」
だから、君が苦手だった。
そう言い終わると、なぜだか僕らはふきだした。。
それが、クスクスと笑い声に変わっていく。