ラッパート!
”手を繋いで支えあっている”
あの時の兄の言葉が、頭の中をよぎった。
僕は、君の力になりたい。
そう思った。
明があの日、僕に見せてくれた夕日のように
人の力になりたい。
君の心を軽くしてあげたい。
なによりも、君と一緒に演奏がしたい―――。
「僕の練習メニューをやってみる?」
僕は口角が思わず上がった。
田中さんは、驚いていたが、すぐに僕に質問返しをする。
「敵が増えるわよ?」
「構わないさ。僕と明と君がコンクールメンバーになればいい。」
「・・・本気で言ってる?」
「本気だよ。君は音色も音程もいい。
一ヶ月みっちり練習すれば間に合うはずだ。」