ラッパート!







・・・・一方、僕の知らない間に練習を重ねていた人がいた。



それは、明



向上心の塊で構成された、僕の唯一の友達。




「絶対に、負けねぇ!
音楽に、勝ち負けはないけどな。」




このことは、コンクールが終わるまで僕は知らなかった。


後から聞いた話では、明は年功序列の間違った使い方だけはしたくないらしい。


そういった意味で、この完全実力主義の部活の中で、明は自分の音を聞いてもらうためにこっそり練習を重ねていたに違いない。



それとほぼ同じ時期に


僕もこっそり練習を始めていた。




「吟さん、奥様が帰ってきましたよ」


「もう少し練習してから行くって伝えて下さい。」



家の防音室に篭りきり、部活が終わったあとも練習を続けた。


親が帰ってきても関係ない。



・・・多分。


母さんは、僕が部活でコンクールがあることを知らない。





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