碧い月夜の夢
「あ、勘違いしないでよ。あの日に集まったあんたのクラスメイトが興味本意に言いふらしたんじゃないから」
そんな凛々子の考えを見透かすかのように、サヤカは潰れたストローでジュルジュルとアイスティーを飲む。
「どういう事よ?」
「桜井浩司本人から、あたしに連絡が来たの。共通の友達がいてね。あんたの連絡先、どうしても教えて欲しいって」
桜井浩二がサヤカに連絡を?
どうして。
「何だかやけに真剣だったからさ、この前、本人と会って話をしてきたんだけど」
「へぇ…」
適当に相槌を打っていると、サヤカはニヤリと笑って。
「いい男になったよね~、アイツ」
「はいはい…」
やっぱりそこですか。
そんな話がしたいために、この女はわざわざ自分を呼び出したのか。
でもどうして桜井浩司は、そこまでして自分の連絡先を知りたがっているのだろう。
前に会った時、もし今度時間があったら遊びにでも行こうと誘われていたっけ。
だけどあれは、はっきりと断ったはず。
なら、用事は何だろう?
率直にそんな質問をすると、サヤカはアイスティーをぐるぐるとかき回しながら、大袈裟にため息をついた。
「あんたって本当にトロいよね、そういう所」
「……トロ…い?」
小学校の頃からバスケットをしていて、活発で運動神経抜群だった凛々子。
それなのに、こんなことを言われたのは、これで2回目だ。
最初に言ったのは、レオン。
ふと、そんな事を思い出して、凛々子の脳裏にあの独特のスタイルと綺麗な顔立ちが浮かんだ。
最後に見た夢で、凛々子がアルマごと切り取ってしまった空間の隙間に見えた、あの不毛な大地。
レオンは、あれが本当のテルラだと言った。
作物も育ちそうにないあんな土地で、レオンはちゃんと元気にしているのだろうか。
アルマに襲われてはいないだろうか。
テルラと凛々子を切り離すのが仕事と言っていたが、もうその仕事が終わってしまったのだろうか。
凛々子の頭の中を、レオンの事ばかりが駆け巡っている。
この一週間、凛々子は普通に、いつもの通り、アルバイトをして過ごして来たが。
――…もう、会えないのかな。
そこまで考えたら、凛々子は思わず泣きそうになった。
そんな凛々子の考えを見透かすかのように、サヤカは潰れたストローでジュルジュルとアイスティーを飲む。
「どういう事よ?」
「桜井浩司本人から、あたしに連絡が来たの。共通の友達がいてね。あんたの連絡先、どうしても教えて欲しいって」
桜井浩二がサヤカに連絡を?
どうして。
「何だかやけに真剣だったからさ、この前、本人と会って話をしてきたんだけど」
「へぇ…」
適当に相槌を打っていると、サヤカはニヤリと笑って。
「いい男になったよね~、アイツ」
「はいはい…」
やっぱりそこですか。
そんな話がしたいために、この女はわざわざ自分を呼び出したのか。
でもどうして桜井浩司は、そこまでして自分の連絡先を知りたがっているのだろう。
前に会った時、もし今度時間があったら遊びにでも行こうと誘われていたっけ。
だけどあれは、はっきりと断ったはず。
なら、用事は何だろう?
率直にそんな質問をすると、サヤカはアイスティーをぐるぐるとかき回しながら、大袈裟にため息をついた。
「あんたって本当にトロいよね、そういう所」
「……トロ…い?」
小学校の頃からバスケットをしていて、活発で運動神経抜群だった凛々子。
それなのに、こんなことを言われたのは、これで2回目だ。
最初に言ったのは、レオン。
ふと、そんな事を思い出して、凛々子の脳裏にあの独特のスタイルと綺麗な顔立ちが浮かんだ。
最後に見た夢で、凛々子がアルマごと切り取ってしまった空間の隙間に見えた、あの不毛な大地。
レオンは、あれが本当のテルラだと言った。
作物も育ちそうにないあんな土地で、レオンはちゃんと元気にしているのだろうか。
アルマに襲われてはいないだろうか。
テルラと凛々子を切り離すのが仕事と言っていたが、もうその仕事が終わってしまったのだろうか。
凛々子の頭の中を、レオンの事ばかりが駆け巡っている。
この一週間、凛々子は普通に、いつもの通り、アルバイトをして過ごして来たが。
――…もう、会えないのかな。
そこまで考えたら、凛々子は思わず泣きそうになった。