碧い月夜の夢
そのおかげで、凛々子はあの忌まわしい過去を受け入れようと思い始めている。
いきなり全てを受け入れる事は出来ないが、凛々子にとってこれは大きな前進だった。
それも、サヤカや、この喫茶店のお兄さん、それにレオンがいてくれたから。
あの魔法の言葉通り、自分は一人じゃなかった。
だから。
「あたしも、戦いたい」
声を張り、真っ直ぐに、レオンを見つめて。
レオンは少し驚いたようにこっちを見つめ、そして笑顔を作った。
「…その言葉、待ってたんだ」
そんなレオンを見て、やっぱりレオンの笑顔は好きだなぁ…などと、つい思ってしまう凛々子。
その時、ぐいっと身体が引き寄せられた。
「えっ?」
いきなり抱き締められて、凛々子は目を見張る。
レオンの心臓の音まで聞こえて来るようだった。
「負けるなよ。俺がーーー」
「……え?」
聞き間違いかと思った。
抱き締められていてよく見えないレオンの表情を伺おうとした瞬間、レオンは突然、凛々子の身体を突き飛ばした。
凛々子は窓と反対側のカウンターの壁にぶつかり、しりもちをつく。
「ちょっとレオン! 何すんの…」
怒鳴りかけて、凛々子は息を飲む。
窓の外、すぐ近くにテルラの人間達が迫っている。
テルラの人間達は、あからさまにこっちに向かって殺気を放っているが、同時に何処か焦っているようにも見えた。
凛々子はその人の群れの先に、視線を送る。
散り散りになって逃げていくテルラの人間達の向こう側には。
「アルマ…!!」
慌てて凛々子は立ち上がろうとしたが、足に力が入らない。
それどころか、だんだん視界が霞んできて。
「嘘でしょ…こんな時に…!」
足元にいきなり穴が開いて、何処までも落ちていく感覚に陥る。
強烈な眠気。
凛々子は声も出せずに、喫茶店の出口に歩いて行こうとするレオンに向かって必死に手を伸ばす。
ダメだよ、外にはテルラの人間達と、アルマがいるのに…!
だんだんぼやけていく凛々子の視界に微かに映ったのは、肩越しにグローブの右手を上げて店を出て行くレオンの後ろ姿だった。
アルマが迫っている、喫茶店の外にーー!
いきなり全てを受け入れる事は出来ないが、凛々子にとってこれは大きな前進だった。
それも、サヤカや、この喫茶店のお兄さん、それにレオンがいてくれたから。
あの魔法の言葉通り、自分は一人じゃなかった。
だから。
「あたしも、戦いたい」
声を張り、真っ直ぐに、レオンを見つめて。
レオンは少し驚いたようにこっちを見つめ、そして笑顔を作った。
「…その言葉、待ってたんだ」
そんなレオンを見て、やっぱりレオンの笑顔は好きだなぁ…などと、つい思ってしまう凛々子。
その時、ぐいっと身体が引き寄せられた。
「えっ?」
いきなり抱き締められて、凛々子は目を見張る。
レオンの心臓の音まで聞こえて来るようだった。
「負けるなよ。俺がーーー」
「……え?」
聞き間違いかと思った。
抱き締められていてよく見えないレオンの表情を伺おうとした瞬間、レオンは突然、凛々子の身体を突き飛ばした。
凛々子は窓と反対側のカウンターの壁にぶつかり、しりもちをつく。
「ちょっとレオン! 何すんの…」
怒鳴りかけて、凛々子は息を飲む。
窓の外、すぐ近くにテルラの人間達が迫っている。
テルラの人間達は、あからさまにこっちに向かって殺気を放っているが、同時に何処か焦っているようにも見えた。
凛々子はその人の群れの先に、視線を送る。
散り散りになって逃げていくテルラの人間達の向こう側には。
「アルマ…!!」
慌てて凛々子は立ち上がろうとしたが、足に力が入らない。
それどころか、だんだん視界が霞んできて。
「嘘でしょ…こんな時に…!」
足元にいきなり穴が開いて、何処までも落ちていく感覚に陥る。
強烈な眠気。
凛々子は声も出せずに、喫茶店の出口に歩いて行こうとするレオンに向かって必死に手を伸ばす。
ダメだよ、外にはテルラの人間達と、アルマがいるのに…!
だんだんぼやけていく凛々子の視界に微かに映ったのは、肩越しにグローブの右手を上げて店を出て行くレオンの後ろ姿だった。
アルマが迫っている、喫茶店の外にーー!