碧い月夜の夢
その後、突き飛ばされて。
凛々子を、強烈な眠気が襲った。
それがレオンとの別れになるなんて… 考えてもみなかった。
本当に大変なのは、レオンなのに。
たった一人で、戦おうとしているのに。
――…レオンに、会いたい。
会って、伝えたい。
一人じゃないということを。
「レオンに、会いたい…」
涙は、後から後から溢れてくる。
それを拭いもせずに、凛々子は呟いた。
そんな凛々子の様子を、優しく、暖かく見守っている悠。
「気持ちはね、きっと、伝わるよ」
ミルクティーを一口飲んで、悠は言った。
「凛々子ちゃんは、人のためにそんなに涙を流す事が出来るくらい優しい女の子なんだから。その想いは、きっと伝わるよ。想いを伝えるだけの力があると、俺は信じてる」
「悠さん…」
「でも…ごめん、俺には何も出来ない」
申し訳なさそうに、悠は言った。
それは、そうだ。
悠はテルラに関わっている訳でもなく、ただ、凛々子に魔法の言葉をくれた人。
あれからレオンに会えなくなって、どうしようもなくて、ついこの喫茶店に来てしまったけれど。
「あの…ごめんなさい、変なこと話しちゃって…」
涙を拭い、凛々子は無理に笑顔を作った。
「何も謝る事なんてないよ。こんな時は、遠慮せずにいつでもおいで。この喫茶店『Free‐Time』にね」
「はい」
その時、店の奥から「悠~、メシ先に食 うからな~!!」という女性の声が聞こえてきた。
どうぞ、と返事をする悠。
「あ、すみません…あたし、帰ります」
慌てて立ち上がる凛々子。
悠は、そんな凛々子を見上げて。
「1つだけ、ヒントをあげようか」
軽くウインクをしながら、そんなことを言った。
凛々子は、借りていたタオルをたたんでテーブルの上に置きながら、悠を見つめる。
「凛々子ちゃんが見たっていう夢の、出会いに繋がったきっかけ…その原点に戻るっていうのも、1つの方法かも知れない」
「きっかけ…?」
「うん、まぁ、これは一般論だけどね。行き詰まったら、原点に戻るっていうのは、大体物事の基本だよ」
そうですね、と頷いて、凛々子は悠に深々と頭を下げた。
カウベルが取り付けてあるドアの取っ手に手を掛けて、凛々子は振り返る。
「悠さんって…本当は、誰なんですか?」
出会った時から、不思議な感覚を持っていた。
凛々子にとって凄く大事な、魔法のような言葉を、いくつもくれた。
凛々子には、そんな悠が普通の人間とは思えなくて。
すると、悠は苦笑して。
「本当は…誰なんだろうね。でも俺達は、頑張っている人間の味方でありたいと、いつも思っているよ」
やっぱり、あまり意味は分からなかったが。
それでも凛々子は悠にまた頭を下げると、喫茶店『Free‐Time』を後にした。
凛々子を、強烈な眠気が襲った。
それがレオンとの別れになるなんて… 考えてもみなかった。
本当に大変なのは、レオンなのに。
たった一人で、戦おうとしているのに。
――…レオンに、会いたい。
会って、伝えたい。
一人じゃないということを。
「レオンに、会いたい…」
涙は、後から後から溢れてくる。
それを拭いもせずに、凛々子は呟いた。
そんな凛々子の様子を、優しく、暖かく見守っている悠。
「気持ちはね、きっと、伝わるよ」
ミルクティーを一口飲んで、悠は言った。
「凛々子ちゃんは、人のためにそんなに涙を流す事が出来るくらい優しい女の子なんだから。その想いは、きっと伝わるよ。想いを伝えるだけの力があると、俺は信じてる」
「悠さん…」
「でも…ごめん、俺には何も出来ない」
申し訳なさそうに、悠は言った。
それは、そうだ。
悠はテルラに関わっている訳でもなく、ただ、凛々子に魔法の言葉をくれた人。
あれからレオンに会えなくなって、どうしようもなくて、ついこの喫茶店に来てしまったけれど。
「あの…ごめんなさい、変なこと話しちゃって…」
涙を拭い、凛々子は無理に笑顔を作った。
「何も謝る事なんてないよ。こんな時は、遠慮せずにいつでもおいで。この喫茶店『Free‐Time』にね」
「はい」
その時、店の奥から「悠~、メシ先に食 うからな~!!」という女性の声が聞こえてきた。
どうぞ、と返事をする悠。
「あ、すみません…あたし、帰ります」
慌てて立ち上がる凛々子。
悠は、そんな凛々子を見上げて。
「1つだけ、ヒントをあげようか」
軽くウインクをしながら、そんなことを言った。
凛々子は、借りていたタオルをたたんでテーブルの上に置きながら、悠を見つめる。
「凛々子ちゃんが見たっていう夢の、出会いに繋がったきっかけ…その原点に戻るっていうのも、1つの方法かも知れない」
「きっかけ…?」
「うん、まぁ、これは一般論だけどね。行き詰まったら、原点に戻るっていうのは、大体物事の基本だよ」
そうですね、と頷いて、凛々子は悠に深々と頭を下げた。
カウベルが取り付けてあるドアの取っ手に手を掛けて、凛々子は振り返る。
「悠さんって…本当は、誰なんですか?」
出会った時から、不思議な感覚を持っていた。
凛々子にとって凄く大事な、魔法のような言葉を、いくつもくれた。
凛々子には、そんな悠が普通の人間とは思えなくて。
すると、悠は苦笑して。
「本当は…誰なんだろうね。でも俺達は、頑張っている人間の味方でありたいと、いつも思っているよ」
やっぱり、あまり意味は分からなかったが。
それでも凛々子は悠にまた頭を下げると、喫茶店『Free‐Time』を後にした。