ばかなじみ!!!!
「柚子は自分のことよりも
人のこと考えすぎ。
辛いのは柚子なのにね……。
私に心配かけないように
こらえてるんでしょ?」






呉はつくづく馬鹿だ。


俺はそんないい奴じゃねぇのに。


そうやって思う呉の方が
考えすぎなんだよ。




…でもそうやって呉は俺の中で
強く結ばれたヒモを解いてくれる。



「…柚子っ…、泣いて、いいんだよ?」



「……………っ」




固く結ばれたヒモは呉によって
解かれ、“強がり”の蓋からも
溢れ出し、抑えていた涙が
流れ出した。




「……………っ」




声に出さずに初めて呉の
前で泣いた。




「柚子っ…柚子ぅっ…」



呉はまた俺の名前を唱え、
ギュッと抱きしめる力を込めた。
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