火照って、のぼせて、気絶するまで
「乳白色の下では、何があるか分からない」
白濁色を乳白色というまろやかな響きにして、私の手から離れた彼の手はお湯に潜る。
確かに何も見えない。あり得ないだろうけど、今彼が、中指立てるムカつく行為をしていても、私は気づかずにいる。
見えない底は、彼の笑顔と瓜二つだ。
どこまでも清らかに、邪気なく笑う白(爽やか)さを持ちながら、底無し沼を連想させる。
「分からないからこそ、期待できるんじゃない?」
「あなたは、私の思い通りに動くから?」
「君が俺を想ってくれているから」
どんどんハマっていく。
抜け出せない深みに。白い沼は汚くないから、ずぶずぶ体を潜らせたというのに、息もさせてくれない時があるんだ。