LOVE PRINCESS(美鶴&琴)
暫くそのまま立ちすくむ私の携帯が鳴る。
門を見つめたまま、『はい……』携帯に出た。
《あっ! 琴さん? 家わかる? 今どこ?》
さっき駅からメールしたからか。
未だ着かない私を心配した美鶴からの電話。
それでも私の目は、門から離れなくて。
《琴さん?》
「あっうん? 美鶴ん家って……角曲がったところだよね?」
《そうだよ》
「他に“江田”っている?」
《いないよ? え? 違うとこ連れて行かれた?》
「いや……多分……江田さん家の前、かな?」
『何それ?』って笑ってる美鶴に、同じように笑った。
おもっきり空笑いでね。
だって……
こんなのアリ?
こんな金持ちなんて聞いてないってばっ!
確か今日は……ご両親にご挨拶よね。
立派な門に言葉も丁寧になってしまう。
突然、ガガガ……と自動で開いた門に、またビックリ。
何なのよ、この家。