LOVE PRINCESS(美鶴&琴)



琴さんとの出会いは、俺が中学の頃だった。


別に、これといって不満はない人生だったはず。

ただ、それは突然だった。

親のレールに乗って進んでるだけの自分に。

何故か急にイライラしてしまったんだ。


生まれて初めて、夜1人で出歩いた。

よくある話、肩がぶつかって絡まれ喧嘩へと発展。

まさか、この俺がこんな事をするなんて思いもしなかったんだよね。

勿論、喧嘩なんてしてもスッキリなんかしない。


殴られた場所が痛かっただけ。


これがどんなに無意味な事かなんて、考えなくても理解出来ていた。

だけど、何となくむしゃくしゃした気持ちを抑えるのにはちょうどいい。


そんな事を思いながら、路地裏の階段に座り込んでいた時。

空からポツリポツリと降り出した雨にも、うんざりだ。


「なぁ~に? ケンカしたのー?」

「え……?」


視線をあげると、そこには細くて小さい……軽い喋り方からは想像も出来ないくらいに色の白い貴女が居た。


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