LOVE PRINCESS(美鶴&琴)


琴さんの仕事が終わると当たり前かのように、琴さんの部屋へと向かう。


琴さんは、繁華街から少し離れたアパートに一人暮らし。

高校を卒業後すぐこっちに出て来たらしく、水商売を始めてもうすぐ10年になるらしい。


琴さんは、詮索なんてしない。


話したくなったら話せばいい。そんな感じ。

琴さんの自身の事も琴さんが自分から話さない限りは、教えてくれない。


そんな関係。


普段は自分の事を話さない琴さんが、唯一話す時がある。

店が終わってから朝が来るまでの、雨の日。


琴さんは、お喋りになるんだ。



水商売を始めて初めて出来た彼氏。

結婚の約束をして一緒に暮らし始めた事。

水商売を辞めなかったのも結婚資金を溜めたかったから。


それを凄く幸せそうな顔で話す。


だけど、ある日いつものように仕事から同棲していたアパートに帰ると、貯めた金の入ってた通帳と彼氏が消えてた。

『有り触れた話でしょ?』そう、寂しく笑う。


そして口癖のように

『もう男なんて2度と信じないの』

って、哀しげに言う貴女を見て。


愛しく思う俺は……変ですか?


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