野球嫌いなあたしと、先輩。
「もちろんです!誠さんは俺の憧れですから」


屈託のない智の笑顔を見て、柄にもなく泣きそうになった。


「かわい過ぎだバカ!」


ガバッと智を抱きしめると、また周りから冷やかしの声が飛んできた。


俺の人生において、絶対的な存在の野球。

けど野球は一人じゃできないし、一人でやっても楽しくない。


そんな単純なことを、俺は忘れかけてた。


「智!絶対甲子園に行くぞ」


「はい!」


バカみたいに盛り上がる俺達。


ふと、その様子を見ている小田切が目に入った。



怖いくらいに真っ直ぐなあの瞳。

アイツは何で、野球が嫌いなんだろう。
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