野球嫌いなあたしと、先輩。




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「おい智!今の打球は前で処理だって何回言えば分かんの?」


「すみません!もう一球お願いします!」


「お前がそんなんじゃ、勝てる試合も負ける!足引っ張んな!練習する意味あんの?はぁー……全部ムダな気がしてきた」


今までだって、随分我慢してた。


でも、もう限界!


あたしの足は真っ直ぐアイツに向かってた。


ーーパーンッ!


あたしの右手は、キレイに左頬をとらえた。


「アンタは野球うまいのかもしれないけど、人間としては最悪!」


「……っ!?」


「気に入らないなら、アンタが辞めれば?」


昔から……智の好きなものは嫌い。


智の好きな人は大嫌い。
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