野球嫌いなあたしと、先輩。
ギュッ……。


「ち、ちょっと!何すんの!」


夢の抵抗なんて関係ない。

俺は抱き締める腕を弱めたりはしなかった。


「いい加減話せよ。お前が辛いと、俺もすげぇ辛い。分かるだろ?智が辛いとき、夢もそうだろ?」


抱き締めてみると、夢は想像以上に小さくて。

いつ壊れてもおかしくないぐらいに、弱々しかった。


俺だってこんな気持ち初めてだ。


夢が悲しがってるだけで、胸が締め付けられるようで。

夢が泣きそうなだけで、抱き締めずにはいられなくなる。

夢が強がったって、もしそれで嫌われてしまうとしても……悩みを軽くしてやりたい。


俺が夢を守る。
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