野球嫌いなあたしと、先輩。
7回表:弱いあたし
「あたし、授業サボるの初めてなんだけど」


「まじで?俺も!」


笑ってるけど、絶対嘘だって分かるから、なんだか心が軽くなる。

皆川誠二郎と肩がくっつくぐらいの距離なのは
、今日の屋上がひんやりしてるから。


……何から話すべきなのか。


「智のこと、いつから好きなんだ?」


迷うあたしに気を遣ってか、答えやすい質問をくれた。


「分かんない。小学生のときか、幼稚園のときか、もしかしたら初対面のときなのか。分からないぐらい前からずっと」


「智が望姉ちゃんのこと好きなのは?」


「うーん……智から直接聞いたのは中学生になった頃かな?あたしらが仲いいこと同級生にからかわれたとき、初めて智と恋愛の話したの」


智がずっと望姉ちゃんを好きだったなんて、これっぽっちも考えたことなかった。

あの衝撃を超えるできごとなんて、これから先もないかもしれない。


「でもね、そのとき望姉ちゃんには彼氏がいた。家にもよくきてたし、もちろん智だって知ってたし」
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