【短・実話笑談】世界一ツイてない男の話
泣きっ面にハチ
ありえない。

皆が口々に言ってくれる。
まぁね、俺もそう思うよ。

昔、女に貢いだ時に出来たご立派な借金。

今の彼女に言ったら死ぬ程馬鹿呼ばわりされたけど、何とかコツコツ返してる。

そんなボンビーな俺に神様が素敵なプレゼントを与えてくれた。

何と競馬で大当り!

ここらでまとめて返済しようと意気揚々と十万円を握り締め機械の前へ。

ポケットを探る。

アレ、こっちだっけ、アレ、アレ?

外のドアの前に人が並びだした。

焦る俺を余所に、後ろで苛々。

俺アワアワ。

―――落とした!

駅前、夕方、現ナマぽろり、しかも十万円。

拾うって、そんなんーっ!!

結局、昨日ウカレて買ったコンビニの菓子と漫画が一冊、それだけが俺の手元に残った。

ツイてない。

だけどそれじゃ終わらないってのが、俺のスゲー所。

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