深空-あたしは生きている-
プロローグ
「痛っ…」



あたしは剃刀を握りしめ、呟いた。



辺りは血まみれ。



ポタポタと腕を伝う赤い液体。



お構いなしに、あたしはもう一度切りつける。




ティッシュで血を拭い、さらにもう一度。




吹き出る血を冷静に眺め、次はさっきよりも強く傷をつけた。



人は自傷行為と呼ぶのだろうか。




腕、太股、お腹、胸、足首―…。




ありとあらゆる所に、赤い線は出来ていった。




一生消えないあたしの傷痕。



這いつくばって生きた今までの…



命の証。




あたしはうっすらと笑みさえ浮かべながら、



次はカッターを握った。





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